東京公演へのこだわり

今年のライヴは、どうしても東京公演に参加したい理由がありました。
夏前からずっと考えていました。
ライヴ2日目に行きたいところがあって、と書いていたところです。
東京にある有名な不妊治療専門のKクリニックに行って、セカンドオピニオンとして今までの治療歴を先生に見てもらい、今までの治療そして現在の治療内容についての意見を聞きたかったからです。

予約制ではなく、受付は8時からで、ネットで7時頃から並んでいると書かれていたので、2日目の朝5時起きし、7時にクリニックに着きました。
全然並んでいなくて、受付したのは2番目でした。
問診表に今までの治療をタイミング○回、AIH○回と記入し、IVFについては表になっていて、10回くらいまで記入できるようになっていましたが、私の場合、回数が多くて足らないので、受付の人に

「書き切れないから、後で診察室に入ってから先生に渡してもいいですか?」

と聞き、了解してもらいました。

「後で尿検査がありますから、トイレはしばらく我慢してください」
と言われました。

Kクリニックはビルの4F、5F、8F、9Fに分かれていて、
4Fが初診受付、診察室、採卵・胚移植(IVF)受付
5Fが採卵、胚移植
8Fが診察室、採卵、胚移植
9Fが再診受付、待合ラウンジ、問診室
になっています。

後から来た人はどんどん呼ばれて中へ入って行くのに、次に受付に呼ばれたのは9時半。
8Fへ上がり、採尿して、待合で待ちました。
Kクリニックには何人かの先生がおられますが、私は院長先生に会いたくて行きました。

せっかく来たのに、他の先生だったら嫌だなと思っていました。
実はお盆休みに千葉の実家に帰省した際、クリニックにTELし、院長先生の診察があるか尋ねました。

「お盆休み中の診察はありますが、院長はお休みになっています」
と言われ、その時は諦めました。

それから診察に呼ばれたのは10時。
院長先生に会えました。

私が先生に聞きたかったこと、言いたかったことは、

*30回近くIVFをやっている。このまま続けていて妊娠する見込みがあるのか
*FSHの値が高い時が多く、卵が出来にくい。この誘発方法で良いか
*卵子の質が悪いのが原因か
*今の病院で妊娠する確率が1割と言われているが、治療歴を見ての先生が考える確率は?
*このまま自然周期IVFを続けていくしかないか
*HCGの量が10000や15000と多過ぎること。それに対して副作用はないか
*ここのクリニックでもDHEAを使っているか
*8月に卵管造影検査をやって、異常なし。子宮の形がへしゃげた三角形だと言われたが問題ないか
*超音波で子宮、卵巣の状態など診て欲しい

でした。

このクリニックでは、HCGはまったく使いません。
前の病院では5000しか使ったことがありませんでした。
今の病院では10000~15000と多過ぎます。
このクリニックとかなりの違いがあります。
刺激周期IVFはやっていません。
自然周期のIVFで、クロミッドと少量のHMGを使って、卵を数個育て、HCGではなく点鼻薬で排卵を誘起するという薬を極力少なくしたIVFをされています。
だから10個や20個といったたくさんの数の卵を採るのではなく、自然に近い状態で排卵を促し、数個のいい卵を採るというのがクリニックの方針です。

まず、先ほど書いた問診表を見ながら、先生がカルテに書き込みました。

先生「IVFは何回したの?」
私「その表に書き切れなかったので、治療歴を自分で書いたのを持ってきましたから、これを見てください」

とA4用紙22枚にわたる治療歴を渡そうとしたら、

先生「それは後でいいから、前の病院で何回したの?」
私「17回です」

先生「今の病院では?」
私「12回です」

始めた年月とIVFの回数だけカルテに記入されました。そして

先生「あなたはなぜ何も原因がないのに自然に妊娠できないのか、ちゃんと分かっていますか?」
と聞かれました。ドキッとしました。

私「FSHが高い時があり卵が出来にくいこと。卵の質が悪いこと・・・です・・・」

先生
「卵管がない、またはピックアップ障害以外は、ヒューナーテストで何も問題がなければ自然妊娠できるんです。
 あなたは僕の書いた本を読んだことがありますか?
 今日は生理の11日目ですね。
 今から超音波で見てから、ホルモンと感染症の血液検査をします。
 僕の本を差し上げますから、検査結果が出るまで、読んでおいてください」

私「感染症の検査はこないだ勤務先でしてもらいました」

先生「それではその結果を近いうちにFAXしてください」

言われるがまま内診室へ。

先生
「これが子宮で、これが卵巣ね。小さい卵胞が2つあるけど、形がおかしいね。
 今周期は排卵しないかもしれないなあ。」

看護師
「それでは血液検査しますから、処置室の前でお待ちください。
 感染症の結果は、なるべく早くFAXで送ってください。
 結果が出るまで1時間~1時間半かかりますので、9Fの待合ラウンジでお待ちください。
 結果が出たら、大きなモニターに受付番号が表示されますので、自分の番号が出たら、8Fへ降りて来てください。
 その間に、この本を読んでおいてください。
 “はじめに”と、“おわりに”と、第1章は必ず読んでおいてください」

“ちょっと、ちょっと、どうなってんのよ~”(ー_ー)!!
何が何だかさっぱりです。

私「ちょっと待ってください。今日は相談だけで来たのですけど」

看護師
「検査して結果が出た後に今後の治療方針とかお話ししますから、採血後お待ちください」

内診室を出て、1Fのロビーへ降りて行き、勤務先にTELし、先週生理3日目にホルモン検査してもらった結果を言ってもらいました。
生理3日目のFSHの値が一番参考になるからです。今までの病院はそうでした。
急いで8Fに戻るとすぐ、処置室に呼ばれました。

私「勤務先で生理3日目に検査してもらった結果を今TELで聞きました。
 感染症の結果は後日FAXしますから、これでいいですか?」

看護師「ホルモン値は日々変化するので、今日の状態を調べますから採血します」

仕方なく、採血することに。この時点で10時。
そして院長先生の本をいただきました。
9Fの待合ラウンジに上がり、モニターがよく見える席に座りました。
先生が書かれた本の表紙をめくると、

     “夢”を貴女に
        ○○さんへ
            ○○○○(院長の名前) H18.9.28

と院長先生のサインが書かれていました。ちょっとビックリ(^_^;
“はじめに”と“あとがき”を先に読み、第1章を読み始めました。
しか~し、3時間しか寝ていないため眠くて、読んでも読んでも、同じところを何度も読んだり、理解できなかったりでなかなか進みません(>_<)
第1章の半分くらいで、モニターに受付番号が表示されてしまい、8Fへ降りました。
慌てて、診察室前で続きを読みました。そして診察室へ。

先生
「FSHは11(生理3日目の値は2だった)だから、まだなんとか頑張れる状態ではあるね。
 P4が少し上がってきているみたいだから、さっきの卵胞は早く排卵してしまったのか、もしくは、今回は排卵が無くて、基礎体温が上がらず、明日か明後日くらいには出血してくるかもしれない。
 (言われた通り、翌日出血して来ました。仕方なく、今週の月曜からプラノバールを飲んでいます)
 明日からプラノバール11日間飲んで、飲み終わって2、3日したら生理が来るから、それでだいたい今周期は25日周期になります。
 次の生理3日目からクロミッドを飲んで、生理○日目に超音波で卵胞確認します。
 HCGはうちでは打ちません。点鼻薬(スプレキュアではない)を使います」

もうびっくりです。


「先生、あの、受付でも言いましたし、さっき超音波の時に看護師さんにも言いましたが、今日は相談だけで来ました。
 今までの治療歴を先生に見ていただいて、先生のご意見をお聞きしたくて来ました。
 主人にもそう言って来ましたし、まだ治療するかどうかは決めてないです」

先生
「遠い京都からうちへ来て、30回近くもIVFやってるって言うから、1日でも早くなんとかしてあげようと思っているのに、僕とあなたの間には思いの違いがある、温度差が生じているから、そんなんだったら治療は出来ないな。
 それじゃあ、なんのためにウチに来たの?
 自分でも今のままの治療を続けていてもダメだと思ったからじゃないの?」


「今お世話になっている先生には、初診時に妊娠する確率は1割だと言われ、1年半治療をしてきて、1割は変わらないと言われました。
 前の病院ではHCGは5000しか打ったことがなかったのですが、今の病院では10000とか15000打っているので、そんなに多量のHCGを打っても大丈夫なのでしょうか?」

先生
「何も原因がない、1割しかないと分かっているのに、なぜIVFを続けるのか、その先生の考え方が分からない。
 何も原因がないのに、どんどんステップアップしていく病院がほとんどなんですよ。
 それでHMGやHCGでどんどん刺激して、痛めつけて、卵巣に首を絞めているだけですよ。
 このままだと、あなたはあと2、3年で閉経してしまいますよ。
 これだけ多量のHMG、HCGを打ってきて、あなたは一度もおかしいとは思わなかったのですか!
 最初にウチに来ていれば、あなたを妊娠させてあげることは出来ました。
 だけど、今までに他の病院で多量のHMG、HCGを使って卵巣を痛めつけてきているから、必ず妊娠できるとはいい切れません。
 ヒューナーテストで異常無いのに、妊娠しないという時点でおかしいと思わなきゃ。
 あなたの方に原因があるということですよ」

今まで頑張ってやってきた治療、すべて否定されました。
私が話したかったこと、聞きたかったこと、ほとんど聞いてもらえず、治療歴も見てもらえませんでした。
前の病院の先生や、噂、義姉には聞いていたけれど、無愛想な先生で、診察中、一度もニコリともせず、怖くて一方的に言われるがままでした。
涙があふれてきて、手をつねりながら、流れ落ちるのを堪えるのに必死でした(T_T)

先生「周りに“子供作らないの?”と言われるのがストレスになっていませんか?」

私「昔はそうでしたが、最近は欲しいけどなかなか出来なくて、治療していることを話しています」

先生
「欲しいけど出来ないと軽く言っているつもりでも、心の中は辛くて辛くてたまらないんでしょう。
 他人に何を言われようが、気にしているようじゃダメ。
 自分達がどうしても欲しいという強い気持ちがなきゃ。
 赤ちゃんや子供を見てもなんとも思わないぐらいにならなきゃ。
 じゃあ、もう今日は結構です。
 ウチは相談という形は取ってないから、それじゃあ、今回のスケジュールはナシにします」

カルテに書かれていた処方に、大きく×印されました。
4Fに降り、会計を待っている間に、泣いている人、目を真っ赤にしている人を3人見ました。

キツイことを言われましたが、すごくいい先生だということは昔から知っています。
私のことを思って言ってくださったのも、よく分かっています。
もうどうしたらいいのか、何が良いのか、悪いのか、何もかもが分からなくなってしまいました。
1時に終わりました。

ホテルに戻り、ダ~に行って来たことをメールしました。
仕事中なので、返事が来ないことは分かっています。
疲れたので、ライヴまで1時間ほど眠りました。
ライヴが始まる時間になっても、前日のように気持ちが盛り上がってきません。
始まって1/3くらいまではそれがずっと続き、自分の今の気持ちにピタッと来る歌詞に涙していました。
今日が今年最後のライヴになるのに、このまま終わってはいけないと思いました。
気持ちを切り替えて、最後までライヴを楽しみました。

10時半頃、ホテルに戻り、ボーっとしていたら、ダ~からメールの返事が届きました。
ちょうど仕事から帰る途中だったみたいです。
それを読んだら、急に涙があふれてきました。
すぐにでも電話をかけたい気持ちでしたが、今仕事がすごく忙しい時期で、毎晩帰りが遅いので、私がグジグジして話すのはかわいそうだからと我慢していました。
0時過ぎに電話がかかってきました。

私「かけたかったんだけど・・・」と言うと、

ダ〜「じゃあ、なんでかけてこないの」

と言われ、Kクリニックでのことをすべて話しました。
それに対する返事は・・・

ダ〜
「そこで治療するかどうかは患者が決めること。
 自分の考えを押し付けるのは、医者としてどうかと思う。
 治療して妊娠できなかったら、結局あなたがもっと早くウチに来なかったからだと言われる。
 姉からも聞いていたので、ある程度は予測できたこと。
 そんなとこで治療しても、私には合わない。
 通える範囲に住んでいれば、もっと早くから通っているはず。
 簡単に通える距離ではない。
 ただでさえ高い治療費を払わないといけない(自然周期なのに高い)のに、こんな遠いところに通うほど金銭的に余裕はない。
 ずっとKクリニックのことを考えていたんだから、行ってみてそれが分かったんだから、良かったんとちゃう?」

翌日帰宅してからも、ずっとどうしたらいいか迷っていました。
今はまだ治療を再開する気持ちにはなれません。
今までにも何度か治療を休んだことはありますが、少し休んだらまた頑張ろうという気になれました。
今回のお休みで、今までにない、初めて、身体も心も日に日に元気になっていくのが、自分でも実感できたし、それが直接NAETの治療にも良い影響を与えました。
考えても考えても答えは出ず、ダ~にどうしていったらいいのか分からないと話しました。

ダ〜
「不妊治療している限り、子供は、妊娠は、もう無理だと諦めている。
 不妊治療で体調が悪くなるということは、質のいい卵が採れなくなる、いくらたくさんの薬や注射をしても、いい卵は出来なくなる。
 今回治療を休んで、体調が良くなり、それは自分が一番よく分かってるでしょ。
 体調が良くなる→卵も自然にいい卵に戻るかもしれない→自然妊娠は0ではない。
 今の病院の先生も1割の確率しかないと言っている。
 そして、前の病院でも、今の病院でも、妊娠反応が出たとか何か進歩があった訳ではなく、ず~っと同じような治療を繰り返している。
 先生も万が一ということがあるかもしれないからと続けているに過ぎない。
 治療はほんの少しの望みに掛ける保険に過ぎなくなっている。
 治療をした方がいいとも言わないし、辞めた方がいいとも俺には言えない。
 治療するのは自分自身なのだから、最終的には自分で決めないといけないよ。」

30回近くIVFをやってきてダメだということは、もう治療しても無理かもしれない。

“卵巣に首を絞めているだけですよ”
“このままだと、あなたはあと2、3年で閉経してしまいますよ”

という先生の言葉が、ずっと頭から離れません。

『自然では妊娠できない』と思って始めた不妊治療。
最後は、『不妊治療を続けていたら妊娠できない』というのが、私達の結論でした。

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